コーチの自己理解の重要性について

2023年08月11日

※当ブログは読者の皆様からお寄せいただいた質問に、当カレッジコラム内でお答えするコーナーの抜粋です。

ー読者の皆様からお寄せいただいた質問にありさんがズバリ、お答えしますー

今月の質問

「コーチングの学びには自己理解が大事,
コーチは鏡だからゆがんだ状態で
リフレクションしないようにジャッジを手放すことが
大事だと聞いたことがあります。
コーチの鏡のゆがみがコーチングセッションに表れるとは,
具体的にはどんなやりとりになるのでしょうか?」

ーありさんのおこたえー

コーチの鏡としてのリフレクションのゆがみの例は,こんなパターンが考えられます。

クライアント「今日のMTGでは,メンバーのAさんが何も発言しなくて」に対して,

  • コーチ①「何も発言しない人がいると,疲れますよね」という。
  • コーチ②「何も発言しない人は,普段から自分事として考えていない傾向がありますよね」という。
  • コーチ③「そうでしたか」といいながら,眉間にしわを深く寄せて,不快そうな顔をする。
  • コーチ④「ええっ!それはそれは上司としてはさぞかし・・・」と,とてもとても気の毒そうな声色と表情で反応する。

クライアントの「今日のMTGでは,メンバーのAさんが何も発言しなくて」

という発話の段階では、クライアントがそのことについて,
どう思っているのかは全くわかりませんよね。

これに対して,上記①~④のコーチの発話を分析するとこんな風に説明できます。

①「何も発言しない人がいると,疲れますよね」という。

これは,発言しない人がいると疲れるはずだ,
というコーチの個人的な思いこみ(ジャッジ)が先にあって,
それを「疲れますよね」と表現していることが明らかといえますね。

ひいては,そういう場面に遭遇したあなたは「疲れているに違いない」
とか「疲れたということがいいたいのだろう」などと,
思い込みをベースにしたいろんな発想がくみ取れそうです。

②「何も発言しない人は,普段から自分事として考えていない傾向がありますよね」という。

こちらも,コーチ自身が思っている
「会議で何も発言しない人は,何も考えていない人」
という個人的な思いこみ(ジャッジ)が先にあり
そのジャッジをそのままクライアントに対して
発言してしまった可能性が高いでしょう。

③「そうでしたか」といいながら,眉間にしわを深く不快そうな表情で聴く。

こちらは,眉間にしわを寄せ,不快そうな表情の中に,
何らかのコーチ自身のネガティブなジャッジが
示されていることが察せられますね。

コーチのネガティブなジャッジとしては
登場したAさんに対するネガティブな反応
そこで何もしなかった?クライアントに対するネガティブな反応
はたまた,自分の過去の体験でも思い出しているのか・・・。

いずれにしても,何らかのコーチの内心の作用が,眉間のしわと不快な表情として表れて
クライアントに示されているといえます。

(ちなみに,理由も言わずに不快な表情だけを浮かべると,話し手は不安になり,無意識に言葉が減っていきます。聴き手の表情が与えるネガティブ影響について,コーチはよくよく認識しておくべきです。)

④「ええっ!それはそれは上司としてはさぞかし・・・」と,とてもとても気の毒そうな声色と表情で反応する。

これも,一見,親身になって聴いているように思えますが,この反応の裏には

「そういうことがあると,上司って大変だよね,よくない状態になっちゃいましたね,
なんなら,これからもっと悪いことが起きるかもですよえ・・・」

的なコーチの認知(時には,よくない予測まで)までを
反射したものということができます。

こうしたジャッジだらけのやりとりは,日常的には多発しています。
が,コーチングではくれぐれも手放すべき態度ですよね。
なぜなら,聴き手であるコーチの内心のジャッジが
こうした言葉や反応に一つ一つ表れ,
そのまま話し手に返っていくことで,
話し手に影響を及ぼすからです。

これが,コーチの鏡の歪みです。
コーチは鏡。
まっすぐに反射したいのなら,
コーチ自身の認知のゆがみをできるだけ手放し
ニュートラルであろうとする態度がとても重要なのであります。

じゃあ,どうやってニュートラルでいられるのでしょうか?
その方法はただひとつ。自分の認知を時に歌勝ち,
他社の認知に耳を傾け,その違いに何度も出会っては問いを立て直す。
この一連の流れを繰り返すことです。

そして,まさにこの自分への問いを続ける機会として,
当カレッジの自己理解リフレクション講座はデザインされています。

人は完全にニュートラルにはなれないけれども,
そのことを受け入れつつ,ゆがみを手放そうと努力を重ねること,
これがコーチの大切な在り方です。

ちなみに,私自身も,自分のゆがみに気付こうとする試みはずっと続けています。

その中で「私はなんて偏った発想をしていたんだろう」とか
「なんて小さい枠で考えているんだろう!」と何度も思い時にあきれます。

時には,「自分が過去に発していた何気ない発言に驚愕する・・・」なんてこともあります。

もちろん,認知に正しい・間違いはないのですが
自分の認知が変われば,
相手に対する態度も(鏡の反射)も必ず変わる
ことは事実です。

鏡を磨こうとする姿勢や思いはコーチ,そして,よい聴き手でありたいならば,
終わることのない営みなのではないでしょうか。

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