悲しみを人に話せないときのウェルビーイングの扉ーひとり語りのススメー

2021年07月06日

自分の気持ちや心が行き詰まってしまうこと,人に話すことさえもできなくなってしまういこと,ありませんか。うまく話せない・とても話せるような心境・内容じゃない。そんなときでもウェルビーイングにあるために,私自身の経験も踏まえて,「ひとり語り」のススメについて書いてみます。


人に話すと楽になるよ

辛い時には誰かに話すといいんだよ。そう,そのとおり。

実際に,人に自分の思いや感情を話すだけで

現実には何ごとも変わらなくても(現実には何の解決にならなくても)

心の中では大きな効果が得られます。

例えば,職場でのトラブルや自分の怒りを友人に聞いてもらっただけで

・気持ちが楽になる

・頭がスッキリする

・がんばっていた自分に気づく

・自分の思い込みだったのか?と気づくこともある

・なぜか体も軽くなる

なんてことは,皆さんも体験があるのではないでしょうか。


このように,自分のことを話す,相手に聞いてもらう,また話す,聞いてもらう。

という循環は,「傾聴」というシステムの中で,大きな癒しと心的な開放をもたらすことが分かっています。


しかし,人はいつでも自分のことを誰かに話せるわけではありません。


人に話せないときもある

心に痛みがあるけれど,それを人に話せないときの例としては


・自分の感情を言葉にできないくらい落ち込んでいる

・涙が出てきて話にならない

・怒りが激しすぎて相手にぶつけそうで怖い

・自分自身がそのことをまだ現実として受け入れられない

・話すことでもっと自分が辛くなる気がする


といった場合と


・とても人に話せる内容じゃない

・こんなことを話したら身の破滅だ


などの,開示する内容の難しさに起因する場合とがあります。


そのほかにも,


・話せる相手がいない

・聴いてほしいけれど,否定されそうで怖い

・相手の負担になりそうで,話せない

・こんな話を聴いてもらうのは,申し訳ない


という思いで,言葉にできずに抱え込んでしまう場合もあります。


話せずに苦しいときはどうしたらいい?

皆さんも,人に言えない思いや悩みをひとりで抱えてきたときはありませんでしたか?

今この瞬間にも,実は心の奥に悩みがある,昔から抱えている小さな痛みがあるという人もいるかもしれません。

もしも,あなたがそれを誰にも話せずにいるなら


ぜひ、独り言でいいので,その思いを口に出してみてください。

「口に出す」がポイントです。

もちろん,自分だけのノートに書き出すのもいいことです。

しかし,思い切って,口にすることの効果は思ったより大きいのです。


ひとりで語るコツは,

思うがままに、何の制限も設けず,ただただ自分の口が動くままに,言葉の流れに任せてみることです。

・あれこれ考えず

・いい言葉を選ぼうともせず

・かっこつけず

・意味不明でも

・大声でも

・小さな声でも

・かすれ声でも

・しゃがれ声でも

・泣いても

・笑っても

・怒っても

・急に話し出しても

・黙っても

・情けなくても

・馬鹿らしくても

すべてOK,OK,OK!です。


自分の口に任せておくと,意外な言葉が出てくる時もあります。

もちろん,それでOK、ただただ,自分の心に従いましょう。


人には,誰も聞いていないからこそ,口にできることがあるのです。

心の声を一旦言葉にすること。

それは,現実に聞いてる人がいるかどうかとは関係なく,それ自体が意味のあることなのです。


わたしが話せなかった時のこと

私自身,共に暮らした保護犬との8年に終わりが来たとき,誰にも話せず,同時期に起きたもう一つの苦難と相まって,数カ月は起き上がるのも苦痛。いわば,ほとんどうつ状態で過ごしました。

数カ月たったある日,家にひとりの私は,それまで直視できなかった愛犬の写真を斜めに置いて,話しかけました。

そして,自分が感じていることを,初めて口に出しました。

「ごめん」とか,「寂しかったよね」とか,から始まり

「あの注射は痛かったよね」「あのフードはまずかったよね」「もっとささみとかお肉がたべたかったよね」「抱っこが足りなかったよね」とか

「このモフモフがいちばん好きだよね」「あのドッグカフェのメニューはいまいち」「なぜリンゴよりスイカが好きなのか?」「うちにきて,幸せだったのか?」・・・

自分でも何を言っているのかわけがわかりません。準備して話し出したわけでもあません。脈絡のない言葉をただ垂れ流しただけのような気がします。

それでも,ただただ口に出してみると,大量の涙,言葉,そして呼吸が,空気の振動となって表出されていきます。その体感覚は圧倒的で,それまで感じたことのない世界にいました。

その間,20分くらいでしょうか。話し終わったように感じた時,

それまで鉛のように重かった自分の体が,少しだけ軽くなった気がしました。

そして,私は,数カ月ぶりに,愛犬の写真を,正面から見ることができました。

そして口からが勝手に動きました。

「ああ,やっと,また,会えたね。」

そして,姿は見えないけれど,でも,ずっと一緒で何も変わらないんだ

「いること」と「いないこと」は同じなんだという,私なりの受容を得たのです。


これが,私が,ひとり語りの力を知った瞬間でした。


ひとりの「語り」とウェルビーイング


自分が誰にも話せないこと,それでも,口にする意味はある。

誰にも話せないこと,だからこそ,口にする意味がある。


そう,

聴いてくれる人,話せる相手が居なくても,大丈夫。 

ウェルビーイングであること,それは,時として,ひとりで誰にも知られることなく

自分の言葉をひとりで語り,それをただ感じることなのです。 


どうぞ,あなただけの,大切なひとり語りの受容の時がウェルビーイングの扉になりますように。


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