組織循環モデルとウェルビーイングのためのコーチング

2021年09月11日

コロナ渦でテレワークが広がり,チームメンバーがどうやって一緒に成果を上げていくのか悩んでいますという声をよく聴きます。確かに,今まで当たり前だった対面のコミュニケーションが激減する中で,どうやって良い組織やチームを作っていくのか,まさにこれからの経営やチーム作りにおける最大のテーマだと言えるでしょう。そんな時に役に立つのが「コーチング的なマネジメント」なのです。今日は,チームや組織においてコーチング的なコミュニケーションはどう機能するか,そもそもコーチング的マネジメントとはどんなものか,ウェルビーイングとの関係と共に説明します。


1 組織循環モデル

組織論といえば,欠かせないのがこちらの理論。マサチューセッツ工科大学のダニエルキム教授が提唱した組織循環モデルという概念です。

グッドサイクルとバッドサイクルの二つがあります。文字通り,左の「グッドサイクル」が望ましいサイクル。そして,右の「バッドサイクル」が望ましくないとされる組織の流れです。

が,よく見ると,二つのモデルの循環の中身,

・関係の質

・思考の質

・行動の質

・結果の質

と各パーツがあります。これらは両方とも同じです。何も変わらない。変わらないのに,片方は良いもので,もう片方は組織に悪い結果をもたらす。

その違いはなんなのか。それは,

「最初に何に注目するか」なのです


2 陥りやすいバッドサイクルの流れ

そして,組織が陥りやすいのは,残念ながら右のバターン,つまりバッドサイクルだと言われています。

これは,マネージャーがメンバーとかかわるときに,「結果の質」から入ってしまうパターンです。具体的には

「おいおい,君たち,結果が出てないじゃないか!」といって,結果!結果!とにかく結果を出せ!という態度から始まります。

そこには,「こうしろ」「あれをやれ」いう指示命令が満ちています。

すると,指示命令を受けるだけのメンバーはやる気が落ちて,知らぬ間に対立が生まれ,他責的なムードが生まれる。つまり,

「関係の質」が大きく下がります。

すると,やらされ感だけが増してきて,

「思考の質」が次第に下がっていきます。そこに主体性はありません

そして,言われたことだけをやっておけばいいという雰囲気が生まれ

「行動」の自発性は失われて,ルーティンや作業だけをやる状態になります。

こうなると,もちろん

「結果の質」も下がる結果,またマネージャーが怒りだすというパターン,これがバッドサイクルです。結構ありがちな状態だと思います。しかしこれ,まったくウェルビーイングじゃないですよね。


3 グッド・サイクルとは

これに対して,グッドサイクルは「関係性の質」に最初に注目します。

まずは,結果を上げるためには,まずはとにかく関係性をよくしよう,いい仲間になろうとするわけです。

そこには,お互いを尊重し,意見を引き出し合いながら共に良いチームを作ろうというマネージャーからの積極的な働きかけがあります。

すると,ひとりひとりがエンパワメントされ,マネージャーからいろんな問いを与えられる結果,気づきが生まれます。ここには,全員が当事者意識を持っていく過程があり,つまり

「思考の質」が上がります。

そして,創造的な考えや改善を目指す思考からは,

自発的なチャレンジ行動が増えて,つまり行動の質が上がる,その結果として

「結果の質」が上がってきて,好循環につながるわけです。

つまり,結果を出そうとするなら,まずは,

「関係性の質にマネージャーが本気で投資せよ」

もっとシンプルにいえば

「関係性の質から始めよ」

という強いメッセージが読み取れますよね。これがダニエルキム教授のいう組織循環モデルなのです。ウェルビーイングな組織作りの姿勢と,とてもとても相関していることがおわかりいただけるのではないでしょうか。


4 全てのチームはコーチングでグッドサイクルを目指せる

これは,組織でも,何かのプロジェクトでも,スポーツでも同じです。うっかりバッドサイクルに入ってしまうと,メンバーの自首性は失われ,思考も行動も質が下がる結果,一見がんばっているようでも結果が出ないという悲しい結果になってしまいます。

これを抜け出して,グッドサイクルに乗せていくのがマネジメントの本質。そのために,「関係性の質」上昇を目指して重要な働きかけを行うスキルが,まさにコ-チングそのものなんです。

なにしろ,コーチングは人の可能性を信じて,その自発性を引き出す仕組みです。「公私ともに人の無限の可能性を引き出す」ことがコーチングの目的でもあります。このスキルをしっかりと使いこなすこと,つまり,マネージャーが,メンバーにしっかりとコーチング的なかかわりを持つことで,チームを他責的な思考から自発的な思考に変えていけるのです。

これは,当スクールが一生懸命お伝えしております「ウェルビーイングをつなぐ」コーチング的なマネジメントそのものでもあります。

5 ウェルビーイング・ファーストで行こう!

人は一人で生きていけません。生きることは,誰かとともに共に心豊かな世界を目指し,お互いに関わり合って何かを生み出すことにほかなりません。この,「共に心豊かな世界を目指す関係性」こそが組織の成り立ちの根源です。ここには必ず,ウェルビーイングが必要なわけで,つまり,ダニエルキム教授がいう,「関係性の質から始めよ」というメッセージも,ウェルビーイングな状態をストレートに目指せ,

まさに

「ウェルビーイング ファースト」

と解釈することもできます。

いい組織を作りたい方,成果を出したいと願う人こそ,メンバーをひとりひとりにコーチング的な承認や良い質問をふんだんに繰り出し,関係性の質をぐっと高めていくこと,ウェルビーイングファースト,を徹底してみましょう。必ずその先に答えがあります。

当カレッジでも,良いチーム作り,良いマネジメントに直結する,ウェルビーイングコーチングのマインドとスキルを体系立ててお伝えしています。また,私自身が,(弁護士としての)法律顧問にとどまらず,ウェルビーイング経営を目指す企業のウェルビーイング経営アドバイザーとしても,さまざまなアドバイスをお届けしています。

あらゆる人が働く幸せ,ウェルビーイングをつないでいけますように心からいつも願っています。

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