LGBTフレンドリーとウェルビーイング経営は密接という話・その➀

2021年07月04日

ウェルビーイング経営の本質は,従業員,クライアント,ステイクホルダー,そして社会のあらゆる人を取り残すことなく,ウェルビーイングの観点からつなごうという志です。そして,その観点で今こそ欠かせないもの,それは「LGBTフレンドリーな職場環境づくり」です。今日は弁護士として,そして,ウェルビーイング経営のアドバイザーとして,LGBTフレンドリーな環境づくりについて書いてみます。あ,もちろんコーチングにとっても,本当に大事なことなのでぜひご覧ください!

まずは,LGBTという言葉についてしっかり理解しておきましょう。ウェルビーイングのためのLGBT理解のためには,言葉の定義や意味付けはとても重要です。


1 LGBTとは 

LGBTとは,性的マイノリティを表す総称,Lesbian(レズビアン),Gay(ゲイ),Bisexual(バイセクシュアル),Transgender(トランスジェンダー)の頭文字をとった言葉です。

巷のデータによれば,約13人に1人が当事者に該当するとされており,学校で言えば40人のクラスでは3人以上いるイメージです。

みなさんの職場が10人以上なら,一人は該当者がいると考えてもいいでしょう。

なお,このような数字が何かを決めるわけではありません。私たちはひとりひとり異なった価値観を持っており,それを互いに尊重するのがウェルビーイングな在り方の第一歩です。そして,価値観に優劣はなく,数字の大小とも全く関係ないものだということを,しっかり胸においておきましょう。

2 LGBTフレンドリーとは

LGBTの人が生きやすい環境のことをLGBTフレンドリーといいます。誰一人取り残さないというウェルビーイング経営の本質からすれば,LGBTの人とそうでない人が共にウェルビーイングに生きる環境を作ることは,当然のことと言えます。

実際,LGBTフレンドリーな職場づくりが,ウェルビーイングに向かうべき日本企業の重要な課題となっています。

ところが,実際にどんな対応が求められるのか,現場での理解が十分とは言えません。そこで,LGBTフレンドリーな職場づくりとはどんなものか,2回にわたりお伝えしてみます。今日はその第一回目,LGBTの基本用語を正しく理解していきましょう。

まず,LGBT理解のためには,➀性別、②性自認、③性的指向の3要素から考えることが重要なポイントです。


➀性別とは

「性別」とは、出生時に医師によって区別される性別のことです。主に,外性器によって判断される、身体上の性別です。出生時に届け出られる戸籍にも,この性別が記載されます。

➁性自認とは

「性自認」とは、自分自身の性を「男性/女性/どちらでもない」のどれにあたると感じるか,という認識のことです。

多くの人にとって,身体上の性別と性自認は一致しています。しかし,生まれついた身体上の性別に違和感を持ち,別の性(あるいは性別そのものから離れて)で生きていこうとする人たちもいます。こうした人たちのことを、広くトランスジェンダーと呼んでいます。台湾のデジタル担当大臣であるオードリー・タンさんも,性区別を持たないトランスジェンダーを自認されていますね。

③性的指向とは

「性的指向」とは,好きになる人(性愛の対象)が男性/女性/両方の性のいずれなのか、ということです。

性的指向が異性に向けられる(異性を好きになる)人が多いとされていますが,同性を好きになったり,異性・同性の両方を好きになる人は、人口比3~10%,決して珍しくありません。

男性が男性を好きになる場合をゲイ,女性が女性を好きになる場合をレズビアンといいます。また,両性を好きになる人をバイセクシャルといいます。

性別に関係なく,他者に対する恋愛感情や性的欲求を持たない人もいます。恋愛感情を持たない人をアロマンティック、恋愛感情はあり得るけれども、性的欲求を持たない人をアセクシュアルといいます。

性的指向は,年齢と共に変化することもあります。


3 カミングアウトとアウティング

次に,カミングアウトとアウティングをはっきり区別しておきましょう。

④カミングアウトとは

LGBTの当事者が、自分の性的指向や性自認を他者に伝えることをカミングアウトといいます。カミングアウトするかどうかは、あくまで本人の自由です。「誰にも言っちゃだめだよ」などとカミングアウトを止めたり,逆に「ちゃんと公表すべき,隠すのは悪いことだ」などとカミングアウトを強制することは,いずれも不適切です。

➄アウティングとは

性的指向や性自認に関する情報を,本人の同意なく第三者に暴露することをアウティングといいます。

性に関することは特にプライバシー性の高い事柄です。

勝手に他人にバラされることは,本人にとって大きな苦痛になります。最近では,一橋大学ロースクールの学生が,同性の同級生に自分の性的志向と好意を伝えた(カミングアウトした)ところ,グループLINEで他の学生たちにアウティングされ,本人がこれをきっかけに投身自殺したという事件が報道されています。

LGBTフレンドリーな職場づくりのためには,次の用語もぜひ覚えておきましょう。

⑥SOGIハラ

SOGIハラとは、性的指向や性自認に関するハラスメントのことです。2020年6月施行のパワーハラスメント防止法では、SOGIハラやアウティングを,パワーハラスメントと位置付け,明確に禁止しています。

⑦アライ

「アライ」とは,LGBTを理解し,支援する人のことです。日本では,LGBTに対する理解や支援が圧倒的に不足しており,多くのLGBT当事者が,学校や職場で苦しい思いをしています。こうした実態を改善するには,アライの存在がカギを握ると言われています。

ここまで,ウェルビーイング経営のため,LGBT基本用語を解説しました。ウェルビーイング経営を掲げる経営者,人事担当者,そして,社内でコーチングを実践している方は,ぜひぜひLGBTフレンドリーな在り方や仕組みについて,一度深く考えてもらえたらと思います。

コーチングに取り組むすべての人にとって,相手をジャッジしないコーチングのマインドは何よりも大事なもの。そのために,LGBTフレンドリーな状態を理解しておくことは役に立つと思います。ある意味,コーチングにとって,「多様性の理解と尊重」ほど大事なものはないかもしれないのです。

次のブログでは,LGBTフレンドリーな環境づくりの実際についてご説明したいと思います。

今日もみなさまがウェルビーイングでありますように。



ラッセルウェルビーイングコーチングカレッジ
Powered by Webnode
無料でホームページを作成しよう! このサイトはWebnodeで作成されました。 あなたも無料で自分で作成してみませんか? さあ、はじめよう